JOJO第4部はアンチ3部だッ!!!!

ジョジョ1部のテーマは『愛』とか『勇気』だと思います。ザ・少年漫画!!って感じですね。
 
ジョジョ2部は"1部で出てきた石仮面はどこからやってきたのか?"から始まって"進化の果てに待ち受けているものは何か?"に終わります。なのでそのテーマを敢えて一言で言えば『ロマン』になると思います。勿論シーザーとの友情とかも大事なんですけど、ストーリーの軸はあくまでロマンの追求です。ロマンに全振りしているからこそジョセフはあんなコミカルな主人公になってるんだろうなと想像します。ロマンを追求するドタバタ冒険活劇にはちょっとトリッキーで明るいジョセフのようなキャラクターがよく合います。
 
ジョジョ3部のテーマはズバリ『100年の因縁』『ジョースターの血統』でしょう。これまでのジョジョの歴史に終止符を打つ!というのが3部のやっていることです。話は"ディオが目覚めた!"というところから始まって"ジョースターの血統は強かった!(スタープラチナの覚醒)"で終わります。
 
で、ここからが本題で、じゃあ4部のテーマは何だろうと考えたときに筆者は「あれは"アンチ3部"だな」と感じます。
つまり、"アンチ血統"、"アンチ因縁"です。
 
分かりやすい話が広瀬康一です。康一くんはジョースター家とは何の関わりもありません。しかし4部は康一くんの視点から始まって、そして誰よりも成長して(スタンドが2段階も進化しました! この成長の仕方はもう主人公でしょ)サブ主人公として最後まで活躍します。ジョースターの血統から少し離れたいという荒木飛呂彦の思惑を筆者は勝手に想像しちゃいます。
川尻早人も印象的です。肝心のボス戦に1番絡んでるのが早人くんです。早人くんがいなかったらバイツァダストでみんな死んでましたもんね。
早人くんのすごいところは非スタンド使いってとこです。『ジョジョの奇妙な冒険』の登場人物で非スタンド使いでここまで活躍するのって早人くんくらいじゃないでしょうか(1,2部は除いて)。
3部の条太郎と4部の早人くんは極めて対照的です。条太郎のスタープラチナがドーンと覚醒してディオを筋肉で粉砕するのに対して、4部の早人くんはスタンドも何も持たずに懸命に吉良吉影に挑戦し、幸運を呼び込みました。(だから悪く言えばその戦いは3部等に比べると地味だとも言えます。4部がそんな好きじゃない人はこの地味さが気に入らないんじゃないでしょうか)
 
そこには「ほんとに大事なのは血統なんかじゃなく、ましてスタンドなんて特殊能力でもなく、誰もが持っている正義の心なんだ」というメッセージがあるように思います。
 
隼人くん自身も言っています。
 
おまえに味方する
「運命」なんて・・・・・
 
おまえが乗れるかどうかの
「チャンス」なんて・・・・・
 
今!
ここにある「正義の心」に
比べればちっぽけな力なんだッ!
 
確実にここにある!!
今確かにここにある
「心」に比べればなッ!
 
 
この台詞スコスコ。
この「心」というのは"みんなの心"のことです。仗助や条太郎だけじゃありません。それは康一くんの心でもあり、杉本鈴美や岸辺露伴や、杜王町の事件に関わるすべての人の「心」です。
どこかの一族の話ではなく、みんなの、全ての人に向けた物語なんです、この4部というのは。そこがこの4部の面白いところなんですよね。

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吉良吉影の設定なんかは露骨だと思います。吉良吉影というのは一言で言えば「どこにでもいる人」です。徹底的に特徴を削った人間、それが吉良吉影です。
どこにでもいる、もしかしたらあなたの隣にもいるかもしれない、そんな人間として吉良吉影は描かれています。そこには因縁なんてものは全くありません。
 
そう見ると仗助が家系図的にかなり変わってる(ジョセフの隠し子)っていうのも意図的なものなのかなとか思っちゃいますよね。仗助を正統なジョースター家としてしまうとやはり物語に"血統"が絡んできてしまいますから、それをできうる限り排除しようとした結果仗助はあのような「父なし子」になってしまったのかもしれません。