エヴァンゲリオン旧劇場版Air書き起こし

エヴァ旧劇考察もやってます☟

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(セミの鳴き声)(波打つ音)

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(第一脳神経外科、病院)

アナウンス「東棟の第2・第3区画は本日18時より閉鎖されます。引継ぎ作業はすべて16:30までに終了してください」

(心電図の音)(303号室、惣流・A・ラングレー)

シンジ(以下シ)「ミサトさんも…綾波も怖いんだ。助けて。助けてよアスカ。ねえ、起きてよ。ねえ。目を覚ましてよ。ねえ……ねえ、アスカ、アスカ、アスカ! うう……助けて。助けてよ、助けてよ、助けてよ、助けてよ。またいつものように僕を馬鹿にしてよ、ねえ!」

(シンジの荒い息遣い)

シ「うっ……最低だ、俺って」

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伊吹マヤ(以下伊)「本部施設の出入りが全面禁止?」

日向マコト(以下日)「第一種警戒態勢のままか?」

伊「なぜ? 最後の使途だったんでしょ? あの少年が」

青葉シゲル(以下青)「ああ、全ての使途は消えたはずだ」

日「今や平和になったってことじゃないのか」

伊「じゃあここは? エヴァはどうなるの? 先輩も今いないのに」

青「ネルフは組織解体されると思う。俺たちがどうなるのかは検討もつかないな」

日「補完計画の発動まで自分たちで粘るしかないか」

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ミサト(以下ミ)「出来損ないの群体としてすでに行き詰った人類を完全な単体としての生物へと人工進化させる補完計画。まさに理想の世界ね。そのためにまだ委員会は使うつもりなんだわ。アダムやネルフではなく、あのエヴァを。加地くんの予想通りにね」

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キール議長(以下キ)「約束の時が来た。ロンギヌスの槍を失った今、リリスによる補完はできぬ。唯一リリスの分身たるエヴァ初号機による遂行を願うぞ」

ゲンドウ(以下ゲ)「ゼーレのシナリオとは違いますが」

冬月(以下冬)「人はエヴァを生み出すためにその存在があったのです」

ゲ「人は新たな世界へと進むべきなのです。そのためのエヴァシリーズです」

幹部9「我らは人の形を捨ててまでエヴァと言う名の箱舟に乗ることはない」

幹部12「これは通過儀式なのだ。閉塞した人類が再生するための」

幹部5「滅びの宿命は新生の喜びでもある」

幹部3「神も人も全ての生命は死をもってやがて1つになるために」

ゲ「死はなにも生みませんよ」

キ「死は君たちに与えよう」

冬「人は生きていこうとするところにその存在がある。それが自らエヴァに残った彼女の願いだからな」

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(目覚めるレイ、満月、どこかへ消えるレイ)

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(眠れないシンジ、救急車のサイレン)

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(キーボードをたたく音)

ミ「そう、これがセカンドインパクトの真意だったのね」

(警告音)

ミ「気づかれた?……いえ、違うか。……始まるわね」

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(警告音)

冬「左は青の非常通信に切り替えろ。衛生を開いても構わん。そうだ! 右の状況は?」

電話:男性職員「外部との全ネット、情報回線が一方的に遮断されています」

冬「目的はMAGIか?」

青「全ての外部端末からデータ侵入。MAGIへのハッキングを目指しています」

冬「やはりな。侵入者は松代のMAGI2号か?」

青「いえ、少なくともMAGIタイプ5、ドイツと中国、アメリカからの侵入が確認できます」

冬「ゼーレは総力を挙げているな。彼我兵力差は1対5。分が悪いぞ」

男性職員「第4防壁突破されました」

日「主データベース閉鎖。ダメです! 侵攻をカットできません!」

伊「さらに外殻部侵入、予備回路も阻止不能です!」

冬「まずいな。MAGIの占拠は本部のそれと同義だからな」

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アナウンス「総員第1種警戒態勢、繰り返す、総員第1種警戒態勢。D級勤務者は可及的速やかに所定の配置についてください」

(開くドア)

リツコ(以下リ)「分かってるわ。MAGIの自立防御でしょ」

男性職員「はい。詳しくは第2発令所の伊吹2尉からどうぞ」

リ「必要となったら捨てた女でも利用する。エゴイストな人ね」

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(♪DECISIVE BATTLE)(電話の呼び出し音)

ミ「状況は?」

日「おはようございます。先ほど第2東京からA-801が出ました」

ミ「801?」

日「特務機関ネルフの特例による法的保護の破棄、および指揮権の日本国政府への委譲。最後通告ですよ。ええ、そうです。現在MAGIがハッキングを受けています。かなり押されています」

伊「伊吹です。今赤城博士がプロテクトの作業に入りました」

ミ「リツコが?」

 

 

(キーボードをたたく音)

リ「私、馬鹿なことしてる? ロジックじゃないものね、男と女は……そうでしょ? 母さん」

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男性職員「強羅地上回線復旧率0.2%に上昇」

ミ「あとどれくらい?」

日「間に合いそうです。さすが赤城博士です。120ページある――」

ミ「MAGIへの侵入だけ? そんな生やさしい連中じゃないわ。多分……」

 

冬「MAGIは前哨戦にすぎん。奴らの目的は本部施設および残るエヴァ2体の直接占拠だな」

ゲ「ああ、リリス、そしてアダムさえ我らにある」

冬「老人たちが焦るわけだ」

 

 

伊「マギへのハッキングが停止しました。Bダナン型防壁を展開。以後62時間は外部侵攻不能です」

電子音声「フリーズ フリーズ フリーズ……」

リ「母さん、またあとでね」

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幹部6「碇はMAGIに対し第666プロテクトをかけた。この突破は容易ではない」

幹部4「MAGIの接収は中止せざるを得ないな」

キ「できうるだけ穏便に進めたかったのだが致し方あるまい。本部施設の直接占拠を行う」

 

 

戦略自衛隊戦闘員「始めよう。予定通りだ」

(ネルフへの攻撃が開始)

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(警告音)

女性職員「第8から第17までのレーダーサイト沈黙!」

青「特科大隊、強羅防衛線より侵攻してきます」

日「御殿場方面からも2個大隊が接近中」

 

冬「やはり最後の敵は同じ人間だったな」

ゲ「総員第1種戦闘配置」

伊「戦闘配置? 相手は使途じゃないのに。同じ人間なのに」

日「向こうはそうは思っちゃくれないさ」

 

(侵入する戦略自衛隊、刺殺されるネルフ職員)

ネルフ隊員1「おいどうした、おい!」

隊員2「なんだ?」

隊員1「南のハブステーションです」

(爆発)

 

 

男性職員1「台ヶ岳トンネル使用不能

男性職員2「西5番搬入路にて火災発生」

男性職員3「侵入部隊は第1層に突入しました」

ミ「西館の部隊は陽動よ! 本命がエヴァの占拠ならパイロットを狙うわ。至急シンジくんを初号機に待機させて」

日「はい」

ミ「アスカは?」

青「303号病室です」

ミ「構わないから弐号機に乗せて」

伊「しかしいまだエヴァとのシンクロは回復していませんが」

ミ「そこだと確実に消されるわ。かくまうにはエヴァの中が最適なのよ」

伊「了解。パイロットの投薬を中断。発疹準備!」

ミ「アスカ収容後、エヴァ弐号機は地底湖に隠して。すぐに見つかるけどケージよりはマシだわ。レイは?」

青「所在不明です。位置を確認できません」

ミ「殺されるわよ。補足急いで」

 

 

(謎の空間にいるレイ)

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日「弐号機射出。8番ルートから水深70に固定されます」

ミ「続いて初号機発進。ジオフロント内に配置して」

青「ダメです! パイロットがまだ……」

ミ「なんてこと……」

 

 

アナウンス「セントラルドグマ第2層までの全隔壁を閉鎖します。非戦闘員は第87経路にて退避してください」

青「地下第3隔壁破壊。第2層に侵入されました」

冬「戦自約1個師団を投入か。占拠は時間の問題だな」

ゲ「冬月先生、あとを頼みます」

冬「分かっている。ユイ君によろしくな」

(破壊されるネルフ)

男性職員1「第2グループ応答なし」

男性職員2「77電算室連絡不能

青「52番のリニアレール爆破されました」

日「タチ悪いな。使途の方がよっぽどいいよ」

ミ「(無理もないわ。みんな人を殺すことに慣れてないものね)」

(ネルフ職員の悲鳴)

 

戦闘員「赤のケーブルから優先して切断」

男性職員1「第3層Bブロックに侵入者! 防御できません!」

青「Fブロックからもです。メインバイパスを挟撃されました」

ミ「第3層まで破棄します。戦闘員は下がって。803区間までの全通路とパイプにベークライトを注入」

青「はい!」

アナウンス「第703からベークライトを注入開始。完了まで後30」

アナウンス「第7377、ベークライトを注入」

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ミ「これで少しはもつでしょ」

日「葛城3佐、ルート47が寸断されグループ3が足止めを食っています。このままではシンジくんが!」

 

(銃声、体育座りのシンジくん)

 

ミ「非戦闘員の白兵戦闘は極力避けて。向こうはプロよ。ドグマまで後退不能なら投降した方がいいわ。……ごめん、あとよろしく」

日「はい」

 

 

戦闘員「双子山はもういい。長尾峠の封鎖を急げ」

師団長「意外と手間取るな」

副長「我々に楽な仕事はありませんよ」

 

 

日「分が悪いよ。本格的な対人要撃システムは用意されてないからな、ここ」

青「ま、せいぜいテロどまりだ」

日「戦自が本気を出したらここの施設なんてひとたまりもないさ」

青「今考えれば侵入者要撃の予算縮小ってこれを見越してのことだったのかな」

日「ありうる話だ……うわっ」

(爆発音)

うずくまる伊吹に銃を渡す青葉

青「ロック外して」

伊「私……私鉄砲なんて撃てません」

青「訓練で何度もやってるだろ」

伊「でも、その時は人なんていなかったんですよ!」

青「馬鹿! 撃たなきゃ死ぬぞ」

(アイキャッチ)

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(崩れた自分の身体を眺めるレイ)

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ゲ「レイ。やはりここにいたか。約束の時だ。さあ、行こう」

 

 

男性戦闘員1「ドグマ第1層は完全に制圧。送れ」

無線「第2発令所とMAGIオリジナルはいまだ確保できず。左翼下層フロアにて交戦中」

男性戦闘員3「フィフスマルボルジエは直ちに熱滅却処置に入れ」

女性戦闘員「エヴァパイロットは見つけ次第射殺。非戦闘員への無条件発砲も許可する」

男性戦闘員4「柳原隊、新庄隊、速やかに下層へ突入」

 

 

(シンジくんに走り寄る戦闘員)

戦闘員「サード発見。これより排除する……悪く思うな、坊主」

(銃声、吹き飛ぶ戦闘員)

ミ「悪く思わないでね」

(戦闘員3人を片付けるつよつよミサトさん)

ミ「さあ、行くわよ。初号機へ」

 

 

(無線を傍受するミサトさん)

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無線「第7ケイジの山岸支隊はどうか」

無線2「紫の方は確保しました。ベークライトの注入も問題ありません」

無線3「赤い奴は既に射出された模様。目下移送ルートを調査中」

ミ「まずいわね、奴ら初号機とシンジくんの物理的接触を断とうとしてるわ。こいつはウカウカできないわね、急ぐわよ。シンジくん?」

(体育座りで黙るシンジ)

ミ「ここから逃げるのか、エヴァのところに行くのかどっちかにしなさい。このままだと何もせずにただ死ぬだけよ」

シ「助けてアスカ……助けてよ」

ミ「こんなときだけ女の子にすがって、逃げて、ごまかして。中途半端が一番悪いわよ! さあ立って! 立ちなさい!」

シ「もう嫌だ。死にたい。何もしたくない」

ミ「なに甘ったれたこと言ってんのよ! あんたまだ生きてるんでしょう! だったらしっかり生きて、それから死になさい」

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冬「構わん。ここよりもターミナルドグマの分断を優先させろ」

日「あちこち爆破されているのにやはりここには手を出さないか」

青「一気に方を付けたいところだろうが、下にはMAGIのオリジナルがあるからな」

日「できるだけ無傷で手に入れておきたいんだろう」

青「ただ対BC兵器装備は少ない。使用されたらやばいよ」

日「N2兵器もな」

(直後、大爆発(N2兵器))

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青「チッ、言わんこっちゃない」

日「奴ら、加減ってものをしらないのか」

冬「ふん、無茶をしおる」

(大量に投下されるミサイル)

伊「ねえ! どうしてそんなにエヴァがほしいの?」

 

 

ミ「サードインパクトを起こすつもりなのよ。使途ではなく、エヴァシリーズを使ってね。15年前のセカンドインパクトは人間に仕組まれたものだったわ。けどそれは他の使途が覚醒する前にアダムを卵にまで還元することによって被害を最小限に食いとめるためだったのよ。シンジくん。私たち人間もね。アダムと同じリリスと呼ばれる生命体の源から生まれた18番目の使途なのよ。他の使徒たちは別の可能性だったの。人の形を捨てた人類の。ただお互いを拒絶するしかなかった悲しい存在だったけどね、同じ人間同士も。いい? シンジくん。エヴァシリーズをすべて消滅させるのよ。生き残る手段はそれしか無いわ」

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首相「電話が通じなくなったな」

秘書「はい。3分前に弾道弾の爆発を確認しております」

首相「ネルフが裏で進めていた人類補完計画。人間すべてを消し去るサードインパクトの誘発が目的だったとは……とんでもない話だ」

秘書「自らを憎むことができる生物は人間くらいのものでしょう」

首相「さて、残りはネルフ本部施設の後始末だが」

秘書「ドイツか中国に再開発を委託されますか」

首相「買いたたかれるのがオチだ。20年は封地だな。旧東京と同じくね」

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無線戦闘員「表層部の熱は引きました。高圧蒸気も問題ありません」

無線2「全部隊の初期配置、完了」

副長「現在ドグマ第3層と紫のやつは制圧下にあります」

隊長「赤いやつは?」

情報参謀「地底湖の水深70にて発見。専属パイロットの生死は不明です」

 

 

(うずくまるアスカ)

アスカ(以下ア)「ああ……生きてる?」

(大量に投下される魚雷)

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ア「ああ! あっ……うっ」

(爆発)

ア「死ぬのは嫌……死ぬのは嫌……」

声「まだ生きていなさい」「死んではダメよ」「まだ死なせないわ」「まだ殺さないわ」「一緒に死んで頂戴!」

ア「死ぬのは嫌ーーー!」

幼女アスカ「ママ、ここにいたのね」

ア「ママ!」

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(弐号機覚醒)

戦闘員1「こ、これは!」

戦闘員2「やったか?」

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ア「どぉりゃああ!」

(駆逐艦をぶん投げる弐号機)

ア「ママ! わかったわ! A.T.フィールドの意味、私を守ってくれてる。私を見てくれてる! ずっとずっと一緒だったのね! ママ!」

 

 

無線の伊吹「エヴァ弐号機起動。アスカは無事です!」

ミ「アスカが?」

(ビクッとするシンジくん)

 

 

下士官「ケーブルだ! 奴の電源ケーブル、そこに注目すればいい!」

(切断されるアンビリカルケーブル)

ア「チッ アンビリカルケーブルが無くったって! こちとらには1万2千枚の特殊装甲とA.T.フィールドがあるんだから! 負けてらんないのよーっ! あんた達に!」

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キ「忌むべき存在のエヴァ。またも我らの妨げとなるか。やはり毒は同じ毒をもって制すべきだな」

 

 

ア「エヴァシリーズ……完成していたの?」

(エヴァシリーズの唸り声)

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冬「S2機関搭載型を9体全機投入とは……大げさすぎるな。まさかここで起こすつもりか」

 

 

ミ「いい? アスカ。エヴァシリーズは必ず殲滅するのよ。シンジくんもすぐに上げるわ。頑張って」

(プッシュ音)

ミ「で、初号機へは非常用のルート20で行けるのね」

日「はい、電源は3重に確保してあります。3分以内に乗り込めば第7ケイジへ直行できます」

(プッシュ音)

(シンジくんを引きずっていくミサト)

 

 

ア「必ず殲滅、ね。ミサトも病み上がりに軽く言ってくれちゃって。残り3分半で9つ。1匹につき20秒しかないじゃない。おおりゃあああ!」

(エヴァシリーズ粉砕)

ア「erste!」

 

 

ミ「……ここね。……うっ」

(着弾音)

戦闘員「目標は射殺できず。追跡の是非を問う」

無線「追跡不要。そこは爆破予定である。至急戻れ」

戦闘員「了解」

 

 

(ミサトさんを見つめるシンジくん)

ミ「これで時間、稼げるわね。ふっ……大丈夫、大したことないわ、うっ」

(エレベーターの扉が開く)

ミ「電源は生きてる。行けるわね」

シ「はっ」

ミ「いい? シンジくん。ここから先はもうあなた一人よ。すべて一人で決めなさい。誰の助けもなく」

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シ「ぼくは、だめだ。だめなんですよ。人を傷つけてまで、殺してまでエヴァに乗るなんて、そんな資格ないんだ。ぼくはエヴァに乗るしかないと思ってた。でもそんなのg負かしだ。なんにも分かってないぼくにはエヴァに乗る価値もない。ぼくには人のためにできることなんてなんにもないんだ! アスカにひどいことしたんだ。カヲルくんも殺してしまったんだ。優しさなんてかけらもない。ずるくて臆病なだけだ。ぼくには人を傷つけることしかできないんだ。だったら何もしない方がいい!」

ミ「同情なんかしないわよ。自分が傷つくのが嫌だったら何もせずに死になさい」

シ「うっ……うっ……」

ミ「今泣いたってどうにもならないわ!」

シ「うっ……」

ミ「自分が嫌いなのね。だから人も傷つける。自分が傷つくより人を傷つけた方が心が痛いことを知っているから。でもどんな思いが待っていても、それはあなたが自分一人で決めたことだわ。価値のあることなのよ、シンジくん。あなた自身のことなのよ。ごまかさずに自分にできることを考え、償いは自分でやりなさい」

シ「ミサトさんだって、他人のくせに、何にも分かってないくせに!」

ミ「他人だからどうだって言うのよ! あんたこのまま辞めるつもり? 今ここで何もしなかったら私許さないからね。一生あんたを許さないからね。今の自分が絶対じゃないわ。後で間違いに気づき後悔する。私はその繰り返しだった……ぬか喜びと自己嫌悪を重ねるだけ。でもその度に前に進めた気がする。いい? シンジくん。もう一度エヴァに乗ってケリをつけなさい。エヴァに乗っていた自分に。何のためにここに来たのか。何のためにここにいるのか。今の自分の答えを見つけなさい。そしてケリをつけたら、必ず戻ってくるのよ」

(ネックレスを手渡す)

ミ「約束よ」

シ「……うん」

ミ「いってらっしゃい……大人のキスよ。帰ってきたら続きをしましょう」

シ「はっ」

(倒れるミサト)

ミ「こんなことなら、アスカの言う通り、カーペット、替えときゃよかった……ねえ、ぺんぺん。加地くん、私、これでよかったわよね……?」

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(直後爆発)

 

(涙するシンジくん)

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ア「わあああああああああああ!」

(エヴァシリーズと交戦する弐号機)

ア「もうしつこいわね! 馬鹿シンジなんか当てにできないのに! うおおおおお!」

 

 

リ「お待ちしておりましたわ」

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(交戦する弐号機)

ア「うわあああ!」

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リ「ごめんなさい。あなたに黙って先ほど、MAGIのプログラムを変えさせてもらいました。娘から最後の頼み。母さん、一緒に死んで頂戴……はっ、作動しない? なぜ……はっ、カスパーが裏切った? 母さんは娘より自分の男を選ぶのね」

ゲ「赤城リツコくん。本当に――」

リ「……嘘つき」

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日「外はどうなってる!」

伊「活動限界まで1分を切ってます。このままじゃアスカは!」

 

 

ア「だあああ! 負けてらんないのよ! ママが見てるのに!」

シ「ママ? 母さん……」

ア「これでラストー! ううう!」

飛んでくる諸刃剣がロンギヌスの槍に変形する。

ア「ロンギヌスの槍? ……ひぃっ」

槍が弐号機の頭を貫通する。

ア「きゃあああああ!」

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ア「ああ!ああ!ああ!」

 

 

伊「内臓電源、終了。活動限界です。エヴァ弐号機、沈黙……なにこれ、倒したはずのエヴァシリーズが」

(起き上がる血まみれのエヴァシリーズ)

伊「エヴァシリーズ活動再開」

青「とどめを刺すつもりか」

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伊「うっ」

日「どうした!」

伊「もう見れません! 見たくありません!」

日「はっ、これが弐号機?」

 

 

ア「うっ、くっ、うう! 殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる!」

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日「暴走か!」

伊「アスカ! もうやめて!」

 

 

伊「ひいっ、シンジくん! 弐号機が! アスカが! アスカが!」

シ「だってエヴァに乗れないんだ。どうしようもないんだ」

動き出す初号機

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シ「母さん……」

 

 

ゲ「初号機が動き出したか」

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副長「エヴァンゲリオン初号機」

師団長「まさに悪魔か」

 

 

シ「アスカ……はっ、うわあああ!」

 

 

つづく

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第26話"まごころを、君に"へ続く

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